日本の医療制度は、全国民が原則加入する公的医療保険制度が基本になっており、加入者と企業などが払う保険料と税金によって、年齢や所得に関係なく、原則としてすべての医療(治療や薬等)を保険給付として受けられる仕組みになっています。
また、働き方や年齢によって加入できる制度が異なり、大きく分けると、「健康保険」、「国民健康保険」、「後期高齢者医療制度」の3つとなります。
「健康保険」は、大企業の労働者などが加入する組合健康保険と中小企業の労働者などが加入する協会健康保険、公務員などが加入する共済組合などに分かれて運営されています。
「国民健康保険」は、自営業や75歳未満の年金生活者などが加入し、市町村や国民健康保険組合などが運営しています。
なお、前期高齢者医療制度とは、65歳〜74歳の方を対象とした、健康保険、国民健康保険間の医療費負担を調整するための制度です。
前期高齢者の加入人数の多い国民健康保険の財政支援を、若年者の加入の多い健康保険から、「前期高齢者納付金」という名で大きな負担が求められます。
前期高齢者医療制度は後期高齢者医療制度のように独立した制度ではなく、あくまで「制度間の医療費負担の不均衡の調整」を行うための枠組みで設けられた制度です。したがって、被保険者が65歳に達し、前期高齢者になっても75歳に達するまでの間は現在加入している各医療保険者により、療養の給付や高額療養費等の給付、保健事業を従来どおり受けることになります。
「後期高齢者医療制度」は、75歳(寝たきり等の場合は65歳)以上の方が加入する独立した医療制度です。従来の老人保健制度に代わり、平成20年4月より開始されました。対象となる高齢者は個人単位で保険料を支払います。
また、65〜74歳の前期高齢者については、健康保険、国民健康保険等の医療保険に加入しますが、高齢者が国民健康保険に集中する傾向があるため、各保険者の加入数に応じて財政調整が行われます。