人事評価制度の基本的考え方  

 現在、日本の人事評価制度の基本的な考え方は、大きくは育成型人事評価制度と成果型人事評価制度の2つに分類できると思います。

 育成型人事評価制度では、成果だけでなく、能力や行動などの評価を行い、その評価結果を基に成果が上がるように指導育成し、全体の成果を上げていこうという考え方です。

 これに対して、成果型人事評価制度とは、各人が稼ぎ出す付加価値などの成果を評価して、その結果を処遇に結びつけることで各人の成果に対する意識を高め、全体の成果を上げていこうという考えです。

表.育成型人事評価制度と成果型人事評価制度の特徴

人事評価制度

育成型

成果型

目 的

給与等の処遇にも活用するが、評価結果を基に、能力向上や人材育成に活用する。

成果や業績に応じ、給与等の処遇を決定する。

活 用

成果を上げられなかった人に対して、その問題点を把握し、指導することで、組織全体のレベルを上げる。

成果によって給与等の処遇にはっきりとした差をつけることで、成果に対する意識を高める。

育 成

上司の指導やOJTを実施して、社内の人材を育てる。

自分自身で能力向上を図る。必要があれば、成果の出せる人材を社外から雇入れる。

面 接

育成していくポイントを確認する場である。

給与等の処遇を決定する場である。


 
 どちらの人事評価制度が良いかは、その企業の状況(業種、職種、職位等)によって異なりますが、一般的には、コンサルテュング会社やIT関連企業などは成果型が向いていると言われていますし、技術の伝承を必要とする製造業は育成型が向いているようです。 
 

 また、製造業において育成型人事評価制度の導入を選択した場合でも、技術職や技能職の人については、能力評価のウエイトを高く設定することになりますが、営業職の場合などは成果や業績評価のウエイトを高く設定することになります。  

 そして、職位や資格等級レベルによって、成果(業績)、能力、執務態度等の評価要素別にウエイトを変えて設計するようになりますので、自社の実態にあった人事評価制度を導入することが大切になります。

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